┏━━━━━━━━━ 辞 書 編 ━━━━━━━━━┓ ┃ ┃ ┃ サ ・ シ ・ ス ・ セ ・ ソ ┃ ┃ ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ■サードパーティ third party 。事故・事件における第三者という意味や,二大政党に対する 第三政党,という意味があるが,パソコン界では,巨大メーカーに対する,ソ フトハウスやオプションハードメーカーを意味する。・・・・それなら,セカンド パーティとは,何にあたるのだろう? ■サウンドエディタ (→ 23: 文章編10 参照) ■サブセット フルセットではない,ということ。 ■サンプリング 一般には何かを見本として抽出することだが,とくにTOWNSなどでは, PCM音源を使ってサウンドデータを取り込むこと。つまり,音の波を一定間 隔で取り込んで,数値化すること。理論は難しいが,やってることは楽しい。 ■シーケンシャルファイル sequential file。「ランダム」の項を参照・・・・していただくほどのことは あちらにも書かれていない。MS-DOSやTownsOSで読み書きされるディ スクのプログラムファイルやデータファイルの扱いはほとんどこれで,要する に,データが頭からずらずら順番に書かれているもののこと。ランダムファイ ルに比べて大量のデータを高速に扱うことができるが,途中の一部のデータを 書き換えるためにはなにしろ頭から読んでいくことしかできないので,ガバッ と読み込んでガバッと書き換える必要がある。 なお,MS-DOSやTownsOSの場合,ファイルそのものの属性にシーケ ンシャルファイルやランダムファイルという区別があるのではない。単に,そ のファイルを使うアプリケーション側が,ファイルをどのように扱うか,とい うだけの問題。 ■シェーディング ヒゲソリのこと。ではもちろんない。(→ 25: 文章編12 参照) ■システムコール ホテルに泊まって,朝,指定の時間に起こしてもらうのがモーニングコール。 ソフトハウスや雑誌編集部に泊まり込んで,取り込んでいるうちにプログラマ が眠れないハメに陥るのがシステムコール。(→ 21: 文章編8 参照) ■シミュレーションゲーム コンピュータゲームは,アブストラクト(抽象的)なパズルを除けばいずれ もなんらかの事象をシミュレート(模倣,模擬,偽装)しているが(たとえば, AFTER BURNERだって,シミュレートの程度はともかく,F14によ るフライトシミュレータであるには違いない),どういうわけか,我が国のパ ソコンの世界では,歴史上の動乱を背景とした陣取りゲームのことをとくにシ ミュレーションゲームと限定することがほとんどである。理由はよくわからな い。誰か教えてほしい。 ■周波数変調 (→ 28: 文章編15 参照) ■情報基礎 (→ 27: 文章編14 参照) ■情報処理装置等電波障害自主規制協議会 VCCIと略される。パソコンやワークステーションなどの情報機器から発 生する雑音を防止するために,関連業界が自主的に設立した組織のこと。これ 自体は,もちろん悪いことではない。しかし,VCCIが自主規制を始めた時 期が,16ビット全盛,8ビットマシンの末期であったことを振り返れば,8ビ ットに新製品が出なくなった大きな要因の1つであったことは否めないだろう。 既存のハードやオプションの多くがこの規制をクリアできず,さりとて新規に 開発し直して工場のラインに通すには市場が細すぎて巨額の赤字が目に見えて いた・・・・。気楽にマシン語コードを学習でき,ハード的にもシンプルかつ改造 の楽しめる,いわばコンピュータ入門ハードとしての8ビットパソコンを滅ぼ した1つのきっかけがこのVCCIだったと考えるのはうがち過ぎだろうか。 ■情報スーパーハイウェイ (→ 10: マルチメディア の項参照) ■初期化(ディスクの初期化,フォーマット) (→ 17: 文章編4 参照) ■初期設定(イニシャライズ) (→ 17: 文章編4 参照) ■ジョン・スカリー ペプシコーラの社長をしていたところ,そのマーケティングの才能に惚れ込 んだスティーブン・ジョブズによってアップルコンピュータに招かれたが,や がて天才固有の無頓着さで社内に暴風雨を巻き起こすジョブズを逆に追い出し てアップルコンピュータの中心に収まった東部エスタブリッシュメントのマネ ージメントエリート。 ジョブズがスカリーを誘う際,しぶるスカリーを「子どもたち相手に砂糖水 を売るのか,それとも・・・・」と口説いた話は有名だが,現在ならスカリーは 「砂糖水とは何事か,わが社の製品は某社の12分の1のカロリーで」と反論で きたかもしれない。クレオパトラの鼻は世界史を変え,若い女性のダイエット への欲求はコンピュータ史を変える・・・・そんなこともないか。 (付記:このCMネタを2度も使っているところをみると,どうやら当時私は コカコーラライトの薬臭さにいい加減げんなりしていたらしい。) ■シリアルインタフェース (→ 19: 文章編6 参照) ■人工知能(AI) 「カツオはナミヘイの息子,サザエはカツオの姉,タラはサザエの息子である とき,ナミヘイはタラにとって何か」・・・・これは,人工知能を利用したとある エキスパートシステムのマニュアルに実際に載っていた例題の1つである。 (→ 18: 人工知能 の項参照) (→ 27: CAI の項参照) ■スーパーインポーズ superimpose。パソコンでは,ビデオ映像(ビデオ機器やTVのチューナか らモニタへ流れる,NTSC信号を介して出力される映像)の上にパソコンの 文字やグラフィック(デジタルRGB出力)を重ねる技術。TOWNSでもビ デオカードさえ装着すれば,BASICなどから簡単に実行できる。 しかし,これは別にパソコンの機能としてのみ使われる用語ではない。そも そもは「何々の上に何々を置く,重ねる」といったような意味で,映画,TV の世界では2つの画像を重ねて新しい画面を作る方法を表す。特撮映画などで ごくごくオーソドックスな手法だから,とくに説明の必要もないだろう。 また,スーパーインポーズとは,犯罪捜査のある面ではごく日常的に使われ る言葉でもある。「法医学の現場から」(須藤武雄著,中公文庫)という興味 深い書物から「スーパーインポーズ法」という章の一部を引用させていただく ことにする。 「もし,身元不明の白骨死体が発見された場合,頭蓋骨だけからでも性別,年 齢,死後経過の時間や血液型などを知ることができるし,手の骨や足の骨があ ればさらに身長なども割り出すことができる。その白骨死体が何某ではないか というような場合,その生前の写真があれば,その写真と白骨の頭蓋骨の写真 をつくり,この二枚の写真を重ね合わせてみる。その頭蓋骨がそのものであれ ば,頭蓋骨は写真の中にすっぽりうまくおさまるし,違っていればどこか骨が 写真の外にはみ出してしまうところができてくる。」 具体的にはどうするのか。もう1冊,「法医学のミステリー」(渡辺孚著, 中公文庫)にも以下のような文章が記されているので,同じく引用させていた だこう。 「白骨死体がOであると証明することは当時完璧にできた。頭骨の右半分には 大きな損傷があったが,頭蓋骨全体としては形が保たれており,とりわけ顔面 に当たる部分には全く破損がない。ちょうどOが行方不明になる直前に,友人 と二人で写っている小さなスナップ写真を手に入れることができたので,頭蓋 骨をこの写真のOと同じ向き方をさせて撮影し,スナップ写真のOの顔の部分 を引き伸ばして,両者等大のネガを作って重ね,スーパーインポーズしたとこ ろ,耳孔とか眼窩とか,解剖学上重要ないくつかの点がぴったりと合致した。」 もし,正体の知れない白骨死体の始末に困っている方がいたら,コンピュー タのスーパーインポーズ機能を活用してその主を探してみてはいかが。 ■スクリーンセーバー ディスプレイ(CRT)は,そのハードウェアの仕様上,何時間,何日間も 同一画面が表示されたままだと,その部分に焼きつきが起こり,均一な画質が 損なわれるおそれがある。そこで,システムメニューやほかのプログラムの動 作中にメモリに常駐し,特定の時間,キーボードやマウスからの入力がないと, 画面を消去したり,ほかのものを表示させたりするプログラムが登場した。こ れをスクリーンセーバーという。最初はMac上で話題になり,最近ではMS- Windowsなど,各システム上に移植されている。また,プログラムそのものも, さまざまな種類のものが現れ,一種の「ウケ」狙い市場を構築している。 ■スクロール scrollは巻き物の意味。テキストやグラフィックを上下あるいは左右に,ず らすというか流れるように表示させ,それまで見えていなかった部分まで表示 すること。 ■スタンダードMIDIファイル アメリカ,オプコード社が提唱しているMIDI用演奏データのファイルフ ォーマット。現在のところ,協議会などで正式に採択/規格化されているわけ ではないが,すでに多くのミュージックツール(MIDI シーケンサ)で採 用されており,事実上の世界標準になりつつある。 ■スティーブン・ウォズニヤック ヒューレットパッカードに勤務しながらのんきにマニアックな小型コンピュ ータ「アップルI」を開発したウォズニヤックは,パーソナルコンピュータに 大きなビジネスの可能性を感じ取ったスティーブン・ジョブズの誘いに,とも にアップルコンピュータを設立することになる。彼はより一般向けに改善され た「アップルII」をヒットさせ,一躍パーソナルコンピュータをビッグビジネ スとして成功させ,そして,その数年後,今度はジョブズにアップルコンピュ ータを追い出されてしまう。・・・・なんだかよくわからない話だ。その後,ウォ ズニヤックが,どこで何をしているのかはよくわからない。じたばた新会社を 作ったという話も聞かないから,どこかで静かに楽しく研究生活を続けている と信じたい。 (付記:実際,最近の雑誌インタビューなど見ても,なかなかいい顔をしてい る。) ■スティーブン・ジョブズ 変な男である。写真を見ただけで,どこか常人と違うものが感じられる。ウ ォズニヤックやスカリーに直接聞いたわけではないので本当のことはわからな いが,無理やり一緒に会社を作らせておいて,後から当の恩人を追い出したり, コーラ会社の社長をやっていたスカリーを招いたあげく,今度は自分が追い出 されたり。アメリカ風ビジネスの厳しさ,とかいう前に,なんだか普通のモノ サシが通用しないのである。こういうのを,神話の人というのだ。そして,神 話の人というのは,実際に側にいると,平凡な人生からは想像もできないくら いおもしろい目に遇える反面,信じられないくらい豪華な迷惑も次から次へと 手渡されるに違いない。カルトQのネタになるほど独特なコンピュータMacin toshを開発後,アップルコンピュータを追われた彼は,現在はやはり少し変な ワークステーションNeXTを開発し,その売り込みに奔走している。 (付記:その後,彼は奔走したままどこかへ走り去ってしまった。さすがとい えばさすがである。) ■スプライト アーケードゲームの筐体をはじめ,家庭用ゲーム機やホビーパソコンに搭載 された,画面上のグラフィックキャラクタの表示や重ね合わせを高速に制御す るためのディスプレイ技術,およびそれによって表示された個々のキャラクタ のこと。ファミコンの「ドラゴンクエスト」で主人公や敵キャラの顔や体を構 成する四角い領域,あの一つひとつがスプライトにあたる。 スプライト技術には,大きく分けて,RAMに書き込んだ情報をハード的に 別物(実際に表示されるパターン)にすり替えてCRTに表示する「ラインバ ッファ方式」と,高速なRAMやDMAの力ワザで専用バッファに書かれた情 報をCRTに表示する「フレームバッファ方式」の2つの種類がある。前者 (MSXやX68000 ,家庭用ゲーム機で採用)にはスプライト用のRAMが小 さくてすみ,かつCPUパワーをあまり必要としないというメリット,ラスタ 表示に合わせてCRTにスプライトを送るため横方向に並ぶスプライト数に制 限があるというデメリットがあり,後者(TOWNSのほか,ギャラクシーフ ォース,パワードリフトなどのアーケードゲームで採用)では,(ハードウェ ア的な限界はあるものの)表示に関する制限がとくにないというメリット,R AM容量やCPUパワーをはじめとする資源を相当に必要とするデメリット, またTOWNSでは,専用フレームバッファをもたず,VRAM1画面分をバ ッファとして利用しているためスプライトを表示すると画面の重ね合わせに不 都合が出るというデメリットがある。 いずれにしても,TOWNSのスプライトが「疑似スプライト」であるとす るのはなんら根拠のない非難であり,東芝のワープロユーザーがOASYSを 疑似ワープロであるというに等しい(最初に日本語ワードプロセッサを開発し たのは東芝)。あるいは,MSXを手にギャラクシーフォースのそれは疑似ス プライトであるとうそぶいてどうなるだろう。要は・・・・使えるか使えないか, それだけの問題だ。そして,MSXのスプライトも,TOWNSのスプライト も,それぞれのマシンの環境,歴史の中において,それなりに使われている。 そういうものだ。 ■セグメント プログラムやデータを同時には使われないいくつかの部分に分割し,必要に 応じて使っていくこと。分割の単位が理にかなえばたいへん優れた管理方式だ が,小さいと罵詈雑言の集中砲火を浴びる。いわく「86は大タコ」,いわく 「だからTOWNSはアーケードゲームの移植がしづらいそうです」。ちなみ に,前者はそれなりに論拠があるが,後者をセグメントのせいにするのはどう だろうか。 ■セントロニクス 8ビット・パラレル(並列)のデータ信号線と,数本の制御信号線からなる インタフェース。世界中,あまたのパソコンでプリンタ接続に採用されている。 (→ 19: 文章編6 参照) ■ソース (→ 12: リスト の項参照) (→ 18: 文章編5 参照)